先日、住まいのご相談を受けたときのことです。ITエンジニアとして働く30代の方で、勤務先は築地。通勤時間をうかがって、思わず聞き返しました。
片道2時間半です。もう慣れました。
この「慣れました」が、いちばん引っかかりました。慣れるというのは、その時間を検討の対象から外した、ということでもあるからです。
往復5時間は、年間で50日分になる
往復で5時間。週5日なら25時間で、月にすると100時間を超えます。年間ではおよそ1,200時間。24で割ると、50日分です。
数字にすると重いのですが、毎日の生活のなかではそう感じません。電車で本を読んだり、動画を見たり、眠ったり。時間は使えているように見えます。だから「慣れました」になる。
その方に「もし通勤が15分だったら、浮いた時間で何をしますか」とうかがってみました。少し黙ってから、答えが出てきました。ジムに行きたい。子どもと朝ごはんを食べたい。途中でやめた資格の勉強をやり直したい。
やりたいことがないから通勤に時間を使っていたのではなく、通勤に時間を使っているからやりたいことを引っ込めていた。順番はそちらでした。
職住接近を選んだメンバーに起きたこと
ryuproのメンバーにも、思い切って職場の近くへ引っ越した人がいます。家賃は上がりました。部屋も少し狭くなりました。それでも本人は「前には戻れない」と言います。
変わったのは時間の量だけではありませんでした。朝に余白ができると、出社前に体を動かす日ができる。帰る時間が読めると、平日の夜に人と会う予定を入れられる。会う人が増えたら、仕事の相談が来るようになった。
家賃の差は月に数万円で、戻ってきた時間は月に80時間ほど。この交換をどう見るかは人それぞれだと思います。ただ、家賃の安さだけで決める話ではなくなります。
住む場所を決めることは、時間の使い方を決めること
私はITインフラエンジニアとして15年働いていました。深夜にトラブル対応をした翌朝も、当たり前のように同じ電車に乗っていました。通勤時間は動かせないものだと思っていて、そもそも考える対象になっていなかったんです。
独立して働く場所を自分で決めるようになって、ようやく気づきました。あれは選べたのだ、と。
家は寝るための場所ではなく、1日の設計図でした。どこに住むかを決めることは、何時に起きて、誰と過ごして、何に時間を使うかを決めることだったんです。間取りと家賃と駅からの距離だけを見比べていたころは、そこがすっぽり抜けていました。
まず、計算してみるところから
もし今の通勤が片道1時間を超えているなら、一度だけ計算してみてください。年間で何時間になるか。そして、その時間があったら何をしたいか。
答えが出たとしても、すぐ引っ越さなくていいと思います。勤務先を変える方法もあれば、リモートの比率を相談する方法もあります。住む場所を動かすのは、手段のひとつでしかありません。大事なのは、通勤時間を「仕方のないもの」の箱から一度出してみることです。
ryuproでは、住まいと働き方をセットで考えるご相談をお受けしています。引っ越すかどうかを決める前の、頭の整理の段階でも大丈夫です。お問い合わせはこちらから、お気軽にどうぞ。